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絵画:アーサー・ラッカム 「ケンジントン公園のピーター・パン」38
Arthur Rackham, "Peter Pan in Kensington Gardens" 38

MIDI:ポンキエルリ 歌劇『ジョコンダ』より 「時の踊り」
A. Ponchielli, Dance of Hour from "La Gioconda".




 
おはなし38

 やっとのことでばあやが門にたどり着いた時、トニーがずっと先の方に見えたので、メイミーも一緒だと思って、門の外へと出てしまいました。
 たそがれが忍び寄り、何百人もの人が門を出て、最後の1人も出て行きました。
 それから公園の閉じる鐘が鳴りました。
 そして最後の鐘がなった時、「さあ、これでよし」という声が聞こえました。それは頭の上の方から聞こえてくるようなので、メイミーが顔を上げると、ちょうどにれの木が腕をのばしてあくびをするところでした。びっくりしてあたりを見回すと他の木も腕をぱたぱたと動かしていました。
 メイミーはこっそり、そこを抜け出すと、赤ん坊通り (The Baby Walk) まで行き、ヒイラギ木のの下に用心しながらもぐりこみましたが、ヒイラギはちょっと肩をすくめただけで、気にもとめない様子でした。
 赤ん坊通りではいろんなことが起こっていました。メイミーが着いた時には、ちょうど木蓮の花とセンダンの花が連れ立って、垣根を越えて散歩に出るところでした。この花たちはなぜかぎくしゃくした動きをしていましたが、それは松葉杖を使っているためでした。
 ニワトコの木がよたよたと道を横切って、マルメロの若木と立ち話をはじめましたが、やはりみんな松葉杖で歩いていました。
 みんなの松葉杖となっているのは若い木や灌木に結び付けてある添え木で、メイミーもしょっちゅう目にしていましたが、今夜はじめて何のためにあるのか分かりました。