絵画:アーサー・ラッカム 「ケンジントン公園のピーター・パン」39
Arthur Rackham, "Peter Pan in Kensington Gardens" 39
MIDI:シューマン 『子供のためのアルバム』より 「メロディ」
Robert Schumann, Melody from "Album for the Young".
おはなし39
メイミーが通りの方をのぞいていると、生まれてはじめて妖精を見ました。それは悪戯な男の子の妖精で、走りまわってはねむの木などの葉を閉じさせていました。
メイミーが思わず声をあげると、男の子の妖精は気付きませんでしたが、菊の花がメイミーの声を聞きつけてしまいました。
「こりゃまた、いったい何の騒ぎ?」ときつい調子で言ったので、メイミーは姿を現さないわけには行きませんでした。
人間であるメイミーを見て、木や草たちは、すっかり当惑してしまいました。
しばらくこそこそ話し合った後で、ニシキギが言いました。
「もちろん私たちの口出すことではないが、あんたはここにいちゃ行けないって、分かっているはずだろう?あんたのことは妖精に知らせなければいけないと思うが、あんたはどう思うかね?」
「知らせちゃいけないわ。わたし、わるいことをするつもりなんて、ぜったいないのよ」
そう言われると植物たちも、妖精に報告するのをやめました。
それでも植物たちはまだまだブツブツ言っていましたが、メイミーは木や花たちの中に、松葉杖を持っていないので歩けないものがいるのを見ました。そして気の毒になって、この植物たちにこう言いました。
「妖精のぶとうかいに行くまえに、1人ずつおさんぽにつれていってあげるわ。わたしにもたれていれば、だいじょうぶよ」
それを聞いて、植物たちは大喜びしました。
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