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 絵画:アーサー・ラッカム 「ケンジントン公園のピーター・パン」36
 Arthur Rackham, "Peter Pan in Kensington Gardens" 36
 
 MIDI:ヴィヴァルディ 『四季』より「冬」 第二楽章
 Antonio Vivaldi, The Four Seasons, RV.269. "Winter", 2nd Mvt.
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  おはなし36
 
 
 
                          
                            
                              | メイミーは何かやるときには、前もってきちんと日どりを決めるのが好きな性格でした。 だからトニーに「ねえ、いつ公園に残る日なの?」と幾度も聞きましたが、答えはきまって「そのうちに」でした。ただ「今日やるの?」と聞かれた時だけトニーははっきりと「今日じゃないよ」と答えました。そこでメイミーは思いました。きっとおにいちゃんは一番いい日を待っているんだと。
 
 一番いい日は、公園が雪で真っ白になった、ある日の午後にやってきました。その日はマル池
                              (The Round Pond) には氷がはっていました。スケートができるほどの厚い氷ではありませんでしたが、石を投げて割って楽しむぐらいの厚さはあって、男の子も女の子もはしゃぎながら石を投げていました。
 その日、ばあやといっしょにトニーとメイミーは公園にやってきて、着いたらすぐに池に行きたかったのですが、ばあやが「散歩が先ですよ」と言って、公園の閉演時刻の出ている看板を見ると「五時半」と書いてありました。ところが、散歩をしてもう一度看板の所まで来るとどうでしょう。驚いたことに、閉演時間が「五時半」から「五時」に変わっていたのです。
 ばあやには分かりませんでしたが、メイミーとトニーにはすぐにわかりました。ずるい妖精たちが、閉演時刻の書き換えをしたのです。今夜が妖精たちの舞踏会の開かれるの夜なのです。
 
 
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