絵画:アーサー・ラッカム 「ケンジントン公園のピーター・パン」22
Arthur Rackham, "Peter Pan in Kensington Gardens" 22
MIDI:シューマン 『子供の情景』より 「異国から」
R. Schumann : 'Von fremden Landern und Menschen' from "Kinderszenen"
おはなし22
こうしてピーター・パンは鳥の島から、ケンジントン公園に遊びに行くことができるようになりました。
ピーターは、人間に見つかると困るので、公園のあく時間よりもずっと早く公園に戻っていました。そのため、ピーターは自分のやる遊びは、人間の子どもの遊びとすっかり同じと思っていましたが、その遊びはしばしばまったく別物になっていました。なにしろ、人間の子どもが本当はどうやって遊ぶのか、誰も教えてくれなかったからです。
妖精たちは、たいてい日暮れ時まで隠れているのですから、何も知りませんし、鳥たちはいろいろなことをたくさん知っていると言いながら、教えてくれるのは、ほんのちょっぴりだったのです。
こういうことから、ピーターは遊びを自力で見つけました。たとえば風船を見つければ、これは鳥たちが話してくれたボールに違いないと思い、人間の男の子がやるのと同じように蹴ってみましたが、それは空に浮かび二度と戻ってきませんでした。