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絵画:アーサー・ラッカム 「ケンジントン公園のピーター・パン」19
Arthur Rackham, "Peter Pan in Kensington Gardens" 19

MIDI:ルイス・ストリーボッグ 「子供の謝肉祭」
Louis Streabbog: Le Petit Carnaval.





 
おはなし19

 つぐみたち一同の前に出された計画は、本当はピーターが立てたものでしたが、しゃべったのはほとんどソロモンじいさんひとりでした。じいさんときたら、他の者がしゃべりだすと、いらいらするたちなのです。
 ソロモンじいさんは、つぐみの巣がいかに素晴らしいか、その技術にはかねがね感心していると言いました。ほかの鳥は巣を泥で塗り固めないので水がもってしまうが、つぐみの巣だけは違うと言いました。
「みなさんにお集まりいただいたのはほかでもない。この若い友人ピーター・パンが、公園まで渡っていきたいと望んでおられる。そこでみなさんの手助けを借りて、舟にするための大きな巣をを作りたいと思っているんじゃ」
 巣を褒められて、いい気持ちになっていたつぐみたちでしたが、それを聞くと急にそわそわしはじめました。
「何も人間のつかうような、たいそうな舟じゃない。この子が乗れるくらいの大きさでいいんじゃ」
「でも、われわれはみんな忙しいんです」
「いかにも。そこでだ。ピーターはみなさんが今までにもらったことのないような高い日当を払ってくださるそうだ。あんたたち1人残らず、1日6ペンスの日当じゃ」
 つぐみたちは大喜びして、その日のうちに舟づくりが始まったのです。

 舟作りの始まった季節は、つがいの時期でしたが、つぐみたちは自分たちの巣を作らず、大きな巣の建造にかかりきりになりました。そのため、ソロモンじいさんが人間の国から受ける注文に応じるに、つぐみの数が足りなくなってしまいました。
 乳母車の中にいる時はとても丈夫そうに見えても、歩くとすぐ息切れをしてしまう、太ってよく食べそうな人間の子どもがいるでしょう。あれはみんな、もとはつぐみだったのです。そしてそういう赤ちゃんを欲しがる女性たちが、ずいぶんいるのです。
 つぐみが品切れになってしまって、ソロモンじいさんはどうしたのか。じいさんは屋根の上にどっさりいるスズメたちに使いをやり、古いつぐみの巣に卵を産むように命じました。そこで生まれた雛を、つぐみだと偽って女の人たちに送りつけたのです。
 後になって島では、この年を「スズメ年」と呼ぶようになりました。
 ですから公園で、自分はいかにも大物だという顔をして、鼻息も荒くふんぞり返っている大人に出会ったら、きっとこの「スズメ年」生まれの人なのです。