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 絵画:アーサー・ラッカム 「ケンジントン公園のピーター・パン」49
 Arthur Rackham, "Peter Pan in Kensington Gardens" 49
 
 MIDI:ゴダール 「ジョスランの子守歌」
 B.Godard, Berceuse de Jocelyn.
 
 
  
 
  おはなし49
 
 
 
                          
                            
                              | ピーター・パンが迷子を見つけた時、もう手遅れだったということが何度かありました。 そういう時、もう間に合わないと分かると、ピーターは「ツバメの巣号」に、オールを取りに行きました。そして、オールで子どものためのお墓を掘って、小さな墓石を置いて、かわいそうな子どもの頭文字を彫りこんであげました。
 
 お墓はいつも二つずつ並んでいます。この方が少しは寂しくないように思えたので、そうしてあげるのです。ケンジントン公園の中で、一番胸を打つ光景といえば、ウォルター・スティーブン・マシューズ (Walter Stephen Matthews) とフィービ・フェルプス (Phoebe Phelps) の二つのお墓でしょう。
 この二つのお墓はウェストミンスター・セント・メアリーズとパディントンの二つの教区がが出会うという地点に並んで経っています。ここでピーターは、誰も知らない間に乳母車から落ちた2人の赤ちゃんを見つけたのです。
 フィービは生後13カ月、ウォルターの方はもっと幼かったのでしょう。ピーターの心遣いからか、ウォルターの年齢は刻まれていないのです。墓碑銘は簡単にこう刻まれています。
 
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                              | けれど、迷子を探しにきた親たちが、門が開くのを待ちきれないで公園に駆け込んだ時、子どもの代わりに、この小さなお墓を見つけるのは、どんなに悲しいことでしょうか? ピーターがオールの鋤をあまり持ち出さずにすむように願わずにはいられません。それはあまりに悲しいことですから。
 
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