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アーサー・ラッカム 「リジイア」(エドガー・アラン・ポー)
MIDI:フォーレ 「パヴァーヌ」

Arthur Rackham: Ligeia (Edgar Allan Poe)
MIDI : Gabriel Fauré, Pavane, Op.50.



 私は、ライン河畔の古い町で、リジイアという女性と出会った。
 妖しくも澄んだ美貌、深い学識の、美しい漆黒の髪のリジイア。けれど私は彼女の苗字さえ知らず、この世のものとは思えぬ美しい女性へ、夢のような恋に落ちていく。リジイアもまた私を深く愛し、二人は結婚した。
 けれど数年の後、暗い死の影がリジイアに忍び寄り、私が彼女の作った妖しくも美しい詩を口ずさんでいる中、静かに息を引き取っていった。
 私はリジイアを忘れられず、放浪した後、イングランドの荒れ果てた古い僧院を買い取り、贅をつくして屋敷の中を豪奢に飾り立てた。そして阿片に溺れ、夢の世界へと落ち込んでった。
 そして暫くして、その屋敷に私は再び花嫁として、名門出身で、金の髪、青い瞳のロウィーナ・トレヴェニォン姫を迎えた。
 ロウィーナ姫は私の狂暴な気難しさを恐れ、私も彼女を愛さず、憎しみさえも抱き、愛はひたすら亡きリジイアへと向かった。
 結婚からわずか二ヶ月の後、ロウィーナ姫は病んでしまう。そしてうわごとのように、あやしい気配や物音がしたことを訴え続ける。彼女を落ち着かせようと私が葡萄酒を飲ませようとした時、阿片による幻影か天使のようなものを見かけ、どこからともなく盃に紅玉(ルビー)色の大粒の雫が落ちるのを見た。私の見た幻影に気付かず、盃を飲み干したロウィーナ姫はまもなく死んでしまう。
 亡き妻の遺体に1人付き添う私。真夜中ふと、死んだはずの妻の唇が動いたように感じた。ただ一人私は、必死で知る限りの蘇生を彼女に施した。
 灰色の暁の迫る頃、“ロウィーナ姫”は死の床から起き、立ち上がった。そして頭に巻きつけていた死の装束をはらりと取った瞬間、闇よりもなお黒い髪がこぼれ落ち、美しい黒々とした瞳が私を、再び見つめるのだった。