アーサー・ラッカム 「アッシャー家の崩壊」(エドガー・アラン・ポー)
MIDI:バーバー 「弦楽のためのアダージョ」

Arthur Rackham: The Fall of the House of Usher (Edgar Allan Poe)
MIDI : Samuel Barber, Adagio for Strings.



 物語の語り手“私”が、幼馴染みである友人、アッシャー家当主ロデリックを訪ねるところから、物語は始まる。
 アッシャー家は旧家であったが、一族の生き残りは友人であるロデリック・アッシャーと、その双子の妹マデライン姫だけになっていた。私はアッシャー家を見た途端、ひどい憂鬱と恐怖におそわれる。そしてその気持ちは、当主兄妹を見てさらに強まる。アッシャーは見るかげもなくやつれ、原因不明の神経病におかされ、妹のマデライン姫は、余命いくばくもない心臓病に取り付かれていた。
 私とアッシャーは、読書や音楽でわびしさを紛らわしていたが、ある夜、私はマデライン姫が死んだことを知らされた。
 二人は地下の穴蔵にマデライン姫の亡骸を葬るが、一週間ほどたったある嵐の夜、悪夢に目を覚ました私のもとに、青ざめたアッシャーが入ってくる。
 気をまぎらわすかのように読書する二人だったが、遠くで物音がしたのに気付く。
 不審に思った私に、アッシャーは、マデライン姫を生きながら葬ってしまったと打ち明ける。
 そして話し終わったアッシャーは、立ち上がり叫ぶ。
「この気違いめが!妹はいま扉の外に立っている!」