アーサー・ラッカム 「ウィリアム・ウィルソン」
MIDI:ドヴォルザーク 交響曲第8番 第3楽章

Arthur Rackham: William Wilson
MIDI : Antonín Dvorák, Symphony No.8 in G, Op.88, 3rd Mvt.



 イギリスの名家に生まれた語り手、仮の名をウィリアム・ウィルソンは、学校に入った時から、気になる級友がいた。名前は自分と同じウィリアム・ウィルソン。
 名は同じでも親戚ではなく、語り手と何のつながりもなかったが、この同名のウィリアム・ウィルソンは、勉学もスポーツも、あらゆることにおいて、語り手のウィリアム・ウィルソンに対抗してきて、しかもそれ以上上を望まなかった。
 語り手ウィルソンは、もう1人のウィルソンにいつしか激しい嫌悪と恐怖を抱くようになり、学校をやめるが、それ以降、大学時代も、成人してからも、ふいにもう1人のウィルソンは現れるのだった。しかもウィルソンは、服装まで自分とそっくり同じものにしていた。

 そして二人のウィルソンがついに対決する時が来た。語り手ウィルソンはイタリアの公爵邸の仮面舞踏会に出席していたが、そこに自分の仮装と同じウィルソン、小物にいたる、何から何まで、自分とそっくり同じウィルソンと対面したのだった。
 怒りにかられた語り手ウィルソンは、剣を抜き、もう1人のウィルソンに決闘を挑み、思いもかけない結末が二人に訪れる。