アンドレ・マルティ 「青い鳥」 1945年
André E. Marty, L'Oiseau Bleu, 1945.


音楽:ピエトロ・マスカーニ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 間奏曲
Pietro Mascani, Intermezzo from Opera 'Cavalleria rusticana'






「さあ、今度こそ青い鳥が手に入ると思いますよ。
私たちは今、魔法の花園の入り口にいます。ここには人間の幸せや喜びがみんな集められていて、運命の神様が番をしているのです。青い鳥もいるにちがいありません」

 光の精の言葉に、みんな元気を出しました。

「へえ、おれはいくぞ!おもしろそうだ。そこではみんな踊ってるんだってな」
 火の精はくるっとまわって言いました。

 でも残念ながら火は熱すぎました。反対に水は冷たすぎます。2人は幸せな人たちを驚かせてはいけないからと、外で待つように光に言われました。

「ミルクもあまりものに感じやすいから、火や水と一緒に外で待ってらっしゃい。子どもたちのお供は、パンとお砂糖と犬にしましょう。猫はどうでも好きなようにね」

「あたし、昔からの友達の“喜び”の隣に住んでいる“不幸”に会いに行きますわ」
 チレットは言いました。

「光さん、あんたは行かないの?」
 チルチルは聞きました。

 すると光は長いマントをすっぽりかぶりました。
「私はこのままでは幸福の中に入っていくわけにはいかないのです。まぶしくて“幸せ”が驚くといけませんからね」。