絵画:アーサー・ラッカム パンドラの箱1
MIDI:フォーレ 「エレジー(悲歌)」
 作品24

Arthur Rackham, Pandora's Box 1.

MIDI : Gabriel Faurè, Elegie, op.24




 パンドラは、ギリシャ神話中の人類最初の女性です。
 ティターン神族の1人プロメテウスが、天上の火を盗んで人間に与えたのを怒って、全能の神ゼウスが復讐のために、鍛冶神ヘファイストスに粘土で造らせたのです。

 パンドラという名は、“すべてを与えられた”という意味でした。その名前の通り、パンドラは神々から素晴らしい贈り物を貰いました。
 知恵の女神アテナが知恵と機織の技術を授け、美の女神アフロディテが美貌を、アポロンが美しい歌声を授けました。そして最後に伝令神ヘルメスが、“好奇心”と“嘘”を与えました。

 すべてを与えられた美しいパンドラは、プロメテウスの弟エピメテウスの元におくられました。
 エピメテウスはパンドラの美貌に惑わされ、ゼウスの贈り物は受け取ってはならないというプロメテウスの忠告を無視し、パンドラを妻にしました。

 パンドラとエピメテウスには、しばらく穏やかな幸せが続きました。

 ところがエピメテウスの家には、美しい金の箱(壷という説も)がありました。
 エピメテウスは、この箱だけは決して開けてはいけないと、妻に言っていました。けれど、ヘルメスから“好奇心”を与えられたパンドラは、開けてみたくてなりませんでした。

 実はこの箱には、プロメテウスとエピメテウスの兄弟が地球上の生物を創造した時に、不必要とされた災いがつめられていたのです。
 何も知らないパンドラは、エピメテウスの留守に、ついにその箱を開けてしまいました。
 途端に中から、「病気」「貧困」「戦争」「犯罪」「憎悪」「嫉妬」「老い」などが、飛び出していったのです。